
いま、企業活動において「環境配慮」は避けて通れないテーマです。持続可能性と利便性の両立が求められる中、スターバックスは2025年3月、紙ストローを廃止し、植物由来素材「Green Planet®」を使った生分解性ストローを導入しました。環境負荷を抑えつつ使いやすさも追求したこの取り組みは、これからの時代にふさわしい新たなスタンダードの一つと言えます。
こうした事例に触れることで、私たちも足元を見直し、小さな一歩を積み重ねるヒントが得られるかもしれません。たとえば、印刷物など身近な制作物から始めるのもそのひとつです。本コラムでは、社内の小さな取り組みから印刷物を通じた環境配慮まで、具体例とともに探っていきます。
目次- なぜ今「環境配慮」が求められているのか
- 現実的にできる「小さな一歩」から始める
- 身近な印刷物から環境配慮を伝えるには
- さらに視野を広げる:地域や業界の取り組み
- まとめ:企業の姿勢を伝える、持続可能な印刷物

なぜ今「環境配慮」が求められているのか
カーボンニュートラルやSDGsといった国際的な目標が明確に掲げられ、政府や自治体、企業には具体的な取り組みが強く求められる時代になりました。脱炭素や資源循環といったテーマは、すでに法制度や補助金の仕組み、さらには投資判断やサプライチェーンの基準にも組み込まれています。
つまり、「環境に配慮しているかどうか」は、企業の姿勢や信頼性を測る物差しになっており、それは採用活動・取引先選定・地域との信頼関係づくりといった日常的なビジネス活動にも直結しています。
2030年・2050年の目標がいくら先に思えても、「今、何をしているか」が、すでに問われ始めているのです。
現実的にできる「小さな一歩」から始める
環境対応=大規模投資、というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし環境への取り組みは、小さなステップからがおすすめです。
以下の例は、当社で実践したものも含め、規模を問わず実践できそうな取り組みをいくつかピックアップしてみました。
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LED照明への切り替え
取り掛かりやすさ: ★★★★★
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人感センサーの設置や習慣を見直す省エネ施策
取り掛かりやすさ: ★★★★☆ -
オフィスの電力契約を再生可能エネルギーに変更
取り掛かりやすさ: ★★★☆☆
まずは「できることから」が、環境配慮の第一歩です。
身近な印刷物で環境配慮を伝えるには
名刺やパンフレットなど、日常的に使う印刷物は、企業の環境姿勢を自然に伝えられる重要なツールです。素材選びや印刷方法によって、持続可能性を具体的に示すことができます。
紙の選び方で伝える
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FSC®認証紙
FSC認証紙とは、環境や社会に配慮して適切に管理された森林から採れた原料を使っていることを保証する紙です。この認証マークは、認定を受けた工場で製造された製品にのみ付けられます(望月印刷はその認定工場です)。普段使われる種類が多く揃っており、再生紙に比べて紙質が良く、印刷もしやすいのが特徴です。これまで使っていた紙と同じように使いながら、環境への配慮を無理なく取り入れられます。
Q:FSC認証マークの入った印刷物はどうやったら作れるの?
FSC CoC認証取得をしている印刷会社にて、FSC認証紙をご利用いただくことで、印刷物へFSC認証マークを表示することができます。望月印刷は2017年にFSC CoC認証を取得しております。安心してご依頼ください。
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LIMEX
LIMEXは石灰石を主原料とした日本発の新技術で、水に強く破れにくい特性があります。耐久性と環境配慮を両立できる素材として、現場での名刺交換や屋外ポスター、飲食店のメニュー表などに最適です。また、独特の質感を活かしたCSRレポートの表紙に使えば、触感で印象に残るだけでなく、環境配慮をさりげなくアピールすることもできます。紙の代替として使うことで、水や木材の使用量を大幅に削減し、実用面でも優れた性能を発揮します。
印刷工程で伝える
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LED-UV印刷
従来の印刷よりエネルギー消費が少なく、インキの乾燥も高速。これにより、印刷時の「ヤレ」(印刷ロス)を削減でき、無駄を減らすことが環境負荷の軽減につながります。 -
Non-VOCインキ
揮発性有機化合物(VOC)を含まない環境配慮型のインク。大気汚染や作業者の健康リスクを抑え、より安全な印刷環境を実現します。
グリーンプリンティングについて詳細をみる
さらに視野を広げる:業界別にみる環境配慮の今
──食品・製薬・重工業、それぞれの取り組みと印刷の関わり方
環境配慮の取り組みは、もはや一部の企業だけの話ではありません。業種を問わず、サステナブルな視点を製品づくりや情報発信に組み込むことが求められています。ここでは、印刷・加工業の立場から、食品・製薬・重工業それぞれの環境配慮の傾向と、どのように関わる余地があるのかを整理してみます。
食品業界:消費者との接点が多いからこそ、見た目と中身の両立が必須
食品業界では、以下のような取り組みが広がっています。
1 | 包装資材のバイオマス化や簡略化 |
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2 | フードロス削減に向けた設計や表示の工夫 |
3 | 脱プラスチック対応 |
4 | サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の可視化 |
とくにパッケージは「商品そのものの顔」であり、環境配慮とデザイン性の両立が大きな課題です。
製薬業界:品質・法規制を守りながらの環境配慮が必須
製薬業界では、以下のような取り組みが進んでいます。
1 | 製造エネルギーの効率化(蒸気や冷却設備など) |
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2 | 包装の軽量化やFSC認証紙の採用 |
3 | 廃棄物管理(試薬や期限切れ品など) |
4 | スコープ3への対応(間接排出の可視化) |
安全性や法規制の厳格な順守が求められる業界だからこそ、品質と環境配慮の両立がカギになります。
重工業:長期スパンの「脱炭素」対応が本格化
製鉄や重機などを扱う重工業では、次のような中長期視点の環境対応が進められています。
1 | 高炉のCO₂排出削減(例:水素還元製鉄) |
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2 | 再生可能エネルギーの導入 |
3 | 脱炭素型の鋼材・部材開発 |
設備投資や工程改革が中心となるため、印刷物による直接的な貢献は難しい面もありますが、環境配慮への姿勢をいかに外部に伝えるかは重要なテーマです。
望月印刷がご支援できること
②環境配慮マーク付き印刷の導入
③印刷適正も考慮した環境素材提案
など、印刷の“裏方”として支援できる領域が多数あります。
以下のような印刷物において、多くの実績があり
環境配慮の実現に貢献できます。
✓ パンフレットや名刺などブランディングツールの見直し
✓ 広報物の刷新(会社案内、ポスターなど)
✓ サステナビリティ報告書などへの環境配慮した印刷物、素材提案
このような「見せ方」に関わる印刷物の支援を通じて関与できる場面が広がっています。
まとめ:企業の姿勢を伝える、持続可能な印刷物
環境配慮に「これが正解」という明確なゴールはありません。
だからこそ、小さな一歩でも「選んでいる」「意識している」という姿勢が伝わることに価値があります。
名刺や会社案内など、日常的に目に触れる印刷物にこそ、環境配慮を“見える化”してみませんか?
私たちは、印刷を通じて貴社の誠実な姿勢を伝えるお手伝いをします。